「・・・ちぇー、シカマル卑怯だ!」
誘拐されたシノの寄壊蟲たちにメスがいたため、
その匂いから簡単に行方を辿られたナルト。
三十二匹の蟲を返そうと閉じ込めていたジャム瓶らしきものの蓋をあけると
蟲たちはシノの服の中にどんどん入って行った。
「・・・・・・すげぇ」
「・・・・ナルト」
ナルトがその光景に見入っていると、シノは静かな声で話しかけた。
「もう二度とするな」
「・・・・・ごめん」
「わかればいい」
「うん・・・あ、シノ、シカマル!俺森で虫いっぱい取れたんだってば!」
「ほう・・・・良かったな」
シノは虫取りが好きなので、収穫を喜ぶナルトに素直に同調した。
シカマルは・・・・・複雑そうな顔だったが。
「ほらほら、見てみろってば!」
そう言って虫かごを見せるナルト。
・・・・・・・・シカマルは頭を抑えて下を向いた。
虫好きのシノでさえも、口を開けたまま動きを止めてしまった。
楽しそうに虫かごを持ち上げるナルト。
「・・・ナルト、てめぇその虫かごは・・・」
「何さシカマル?いっぱい採れたから虫かごがぎゅうぎゅうだってば」
「視覚の暴力なんだよその虫かご!!!」
虫たちも動けないのではないだろうかと思うぐらい・・詰まっている。
ぶーんぶーんと、かごの所々から虫たちの羽音が聴こえる。
見える部分だけでも蝶々、セミ、トンボ・・。
これを女性に見せるだけで、ある程度精神攻撃となるのではないだろうか・・・
「ナルト」
「ん?」
「是非ともその虫たちを譲ってくれないか?」
「・・・・まぁ、料理はもう面倒だし・・いいけど」
妙な顔をしながらも、シノに虫かごを渡すナルト。
シノは少し嬉しそうに口元を綻ばせた。
「ありがとうナルト」
「どういたしまして!」
「・・俺はそろそろ帰る。またな、ナルト、シカマル」
「おう、じゃあな」
「またな、シノ!」
帰って行くシノを見送りながら、ナルトはゆっくりとシカマルを見た。
「あの虫かごは嫌がらせのつもりだったんだけど」
「わかってる」
「シノには・・・あんまり効果なかったな」
「あれはいのやサクラあたりが見たら泣くと思うぞ?」
比較的潔癖のサスケやネジあたりもかなり嫌がりそうだなぁ、と頭の隅で考えるナルト。
「うん・・・・・流石シノ」
「ああ、確かに流石だよ、シノは・・・」
感慨深げに頷きあうナルトとシカマル。
刻々と日が落ちかけている夕暮れ。
「・・・とりあえず、普通の夕飯食べに行かね?」
「そーするか。一楽のラーメンがいいな」
「またかぁ?本当に飽きないんだな・・・」
「嫌なら虫・・「よし、今日は一楽行くか」
右手には小さな虫。
ナルトの言葉を遮ってシカマルはクナイを取り出しながら爽やかな笑顔を浮かべる。
「うん、一楽決定!」
ナルトも爽やかな笑顔をシカマルに見せる。
二人とも笑顔。
なのに二人を包む雰囲気はとても穏やかとは言えないものであった。
帰