森林浴、オリエンテーリング、フィッシング体験・・・・etc。
初めてこの企画のプリントに目を通したとき、
あまりに自分には合わないと感じて、こっそり参加キャンセルの
電話を入れようかと思った。


「ごめんなさいね、テルマ・・・お母さん急に仕事が入っちゃって」
「大丈夫ですよ、気にしないでください。
 それにほら、いっぱい僕と同じくらいの子がいますし」

周りを見渡せば、自分と同じように大きな荷物を背負って
親と別れる子どもたちがちらほら見受けられた。
サマーキャンプなのだから、当たり前といえば当たり前。
・・・・・正直言って、楽しみも何も無い企画だが
母が自分が寂しくないようにと思っての行為をとやかく言う気はない。
女手一つで今まで育ててくれて、いつも自分を気遣ってくれるのは嬉しかった。
(時々空回りしているところもあるが)

「それじゃあ、何かあったらすぐに連絡するのよ?」
「あはは、圏外ですよ〜。母さんも仕事頑張ってください」

母の乗り込む車が見えなくなって、やっと息をついた。
よい子を演じておいて悪いが、これから数日、適当に過ごそう。
幸い暇つぶしの本は数冊鞄に詰め込んでおいた。
我ながらアウトドアキャンプに来てまで・・・とは思う。一応。











「あぁ!?俺が何でこんなくっだらねーキャンプに参加しなくちゃなんねぇんだよ!!」
「はっはっは、おまえはそうやって腕白坊主で協調性が無いから、
 少しはこのキャンプで友達でも作ってくれ。んじゃ!」
「おいっ、待ちやがれクーソー親父ぃぃ!!!!!」

よくわからないが、自分以外にも望んでここに来たわけじゃない子どももいるらしい。
ほんの少し親近感がわいたけれど、どうも口調から察するに不良っぽい。
実際、周囲の子どもたちは彼の悪態に怯え、蜘蛛の子を散らすように走り去っていった。

・・・・・・・どこに集まるのかわからなくなってしまった。
周囲に合わせて集合場所に行こうと思ったが、
まさかこうも皆いないくなってしまうとは。

慌ててリュックサックを下ろし、入っているはずのプリントを探す。
集合時間も、確かそんなに余裕はなかった気がする。



「おい」
「はい?」

いきなり声をかけられて、間抜けな返事をしてしまった。
多分、声から察するに、さっきの不良の人に違いない。
まぁ、流石にいきなり殴られることは無いだろうと、
失礼だと思いながらもリュックから目が離せない。

「集合場所、わかんねぇんだけど。どこかわかるか?」
「あー、僕もわからなくなっちゃったんです。
 ちょっと待ってください。プリント、あるはずなんで」

綺麗に折りたたまれた藁半紙を出し、広げて確認する。
ここは駐車場で、集合は、近くの公園になるらしい。
地図を何度か確認し、顔を上げて笑いかける。何事も第一印象が大事だ。

「ちょっと歩くんで、僕と一緒に・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」




お互い、顔を見合わせたまま、言葉を失った。
だって、ありえない。







僕と、彼の顔は、全く同じだったのだ。

















双子ブームが微妙に激しかったらしい。
元ネタは「ファミリー・ゲーム」
この後、少しずつ悪天仲良くなって、実の双子と判明。(両親離婚で一人ずつ引き取られた)
キャンプ後に入れ替わって、今まで記憶になかった片親と会ったり。
(当然、バレないようにお互い、片割れのフリをするんだよね・・・・
 天のフリする悪も悪のフリする天もおいしい!)
そんで筋どおりに両親をまたくっつけさせようと画策するわけで。
個人的に、双子の正体に気づいて手助けしてくれるのは
使用人たちじゃなくって双子の友達だったらいい。
必人とかコンとか銃兵衛とか・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・あー、書くのも妄想すんのもすっごく楽しかった!
(書くだけ書いてすっきりした)