「・・・・暑い」
「・・・・・そのコート脱げばいいじゃない」
「セクハラですよナナさん」
「まじめな顔で冗談言わないでくれる?」
「・・・・・・暑い」
「私はあんたがうざいわ」
「・・・・あそこでアイス売ってますね」
「私はバニラね」
「パシリ決定ですか」
「代金ぐらいちゃんと払うわよ」
「いりません」
「何で?」
「女の子にお金を払わせるなんてかっこ悪いです」
「・・・・・言っとくけど、私、あんたよりずっと金持ってるわよ?」
「そんなの関係ないじゃないですか」
「・・・・・・・・・・」
「あ、今ちょっと見直しました?」
「馬鹿テルマ!」
「はい、どうぞ。バニラとキャラメルでよかったですか?」
「・・・・私、ダブルなんて頼んでないわよ」
「店員の人が女の人だったんで」
「だったんで?」
「・・・・・・・・・ナナさんって天然さんですか?」
「ええ、天然よ」
「自分で天然なんて言う人が天然なわけ・・・あれ」
「あははっ!」
「良い天気ですねぇ」
「さっきまで暑い暑い喚いてたくせに」
「白い雲がいっぱいですー」
「無視?・・・・まさか綿飴に見えるとか言い始めるんじゃないでしょうね」
「ベタですよ。でも」
「でも?」
「あっちはイフリート・・・むこうのはガルーダ・・・・・に見えません?」
「見えないわよ!大体ビーダマンなんて形は似たようなもんでしょっ」
「なっ、似たようなもんとは失礼な!ナナさんはあんなに良質のビーダマンに
囲まれていながら、量産品との区別もつかないんですか!?」
「あー・・・・忘れてた。あんたもビーダーだったはね。馬鹿がつくほど」
「いえ、別にあの人たちほどビーダマン好きってわけじゃないです」
「じゃあ何なのよその前振り!!」
「・・・・・・踏み切りの前であの音聞くと、頭の中ガンガンしません?」
「何が言いたいのぉぉ!!!!」
「あーあ、もう暗くなっちゃいましたね」
「というか、何で私があんたに一日中付き合わなきゃいけないのよ」
「何でって、デートだから」
「はぁ・・・こんなことなら家でごろごろしてればよかった」
「僕が無視したのまだ根に持ってます?ねえ、持ってますよね?」
「ま、アイスも美味しかったしいいけど。じゃあね、テルマ」
「ええ、さようなら。ナナさん」
「・・・・・・テルマ?」
「夜に女性一人は危ないですよ。早く帰った方がいい」
「・・・・・・・・・・・・」
「ナナさん?」
「わかったわよ。また、ね。テルマ」
「・・・・・鋭いなぁ」
せめて忘れないでくれとすら言えなかった人生
『ドラマ』の続きっぽい描写ありましたね。