アニメの出来事が春休みに起こったと設定し、
ナナ、銃兵衛、テルマが実は同じ中学に入学したら、というアフター話。
コドウさんは出す予定ですが、他メンバーは出番ほぼ0です。





01.入学式1 (ナナ)


西園寺グループとの長く果てしない戦いから二週間。
聖なる七人のビーダーたちも各々散ってしまった。
(といっても、ジョーと海人とコドウ以外は案外近場で暮らしているらしいが)
必人は相変わらずビーダマンにのめりこみ、
光太郎のおじ様が帰ってきてからは輪をかけて酷くなった。



いや、まあ、それも悪くない日常だ。



ドキドキするような冒険はもうないけれど、
私にはこれから沢山やることがある。

例えば、入学式。及び中学生活。


……本当に、あの戦いが春休みの間に終わってよかった。
初っ端から休学は勘弁したい。
必人やコン太はまた同じ生活を繰り返すだけだが、
こちらは新入生。最初のイメージが大切な時期なのだ。




背筋をしゃんと伸ばし、同じ新入生が集まるロビーに移動。
学区の関係上、昔からの友人たちは同じ学校ではないのが残念だ。

だからこそ、これからいっぱい友達作ろう。
心の中で新たに気合を入れたところで、
自分のクラスを確認しようと人だかりに足を向けた。


「「なっ!?」」


ざわめきの中で、くっきりはっきり聞こえた大音量の二重音声。
皆が、声の主達をちらりと見た。
もちろん、私も。

一般中学生よりも頭が二つ三つ分程抜きん出た大男。
それに、黄緑のロンゲ眼鏡。

見覚えがありすぎて、人の波を掻き分けて二人に近づく。
お互い気づいた。


三人で、顔を見合わせて。はい、もう一度。



「何でここにいるのよっ!?」
「何でここにおるんでござるかっ!?」
「何でここにいるんだよっ!?」







02.入学式2 (ナナ)



「僕と銃兵衛さんが4組で、ナナさんが3組なんですね」
「近いのぅ。よろしく頼むでござるよ、ナナ殿、テルマ!」
「………あーあ、折角あの面子と離れられたと思ったのにー」

憎まれ口を叩いても、二人は笑って返してくれた。

「ナナさん。想像してください」
「拙者らが最上級生になったとき、新入生には」


そう。確実にあの熱血ビーダー野郎が入学してくるのだ。
信じられない。
私の平穏な中学生活が二年で終わるなんて。
いや、こいつらがいるんだから、一年も続かないんじゃないだろうか。



「テルマ、銃兵衛」
「はい?」
「私とあんたたちは、これが初対面。赤の他人だからね!」


そんなぁ、と銃兵衛が悲しそうに口をすぼめるのに対し、
テルマはにやりと口元を歪めて笑った。
一瞬、悪魔の方かと思ったが、口調は丁寧だった。


「無駄だと思いますよ?」
「何が」
「ナナさん、自分で思ってるよりずっと………」


言葉の途中で、ふと、口を閉ざした。
それからまたへらへら笑いながら「何でもないです」と呟いた。
嫌な奴!
最後の最後で改心したと思ったのに、全然変わってないじゃない!!











03.四組 (銃兵衛)


クラスの生徒数は36人。
男子20人。女子16人。
当然男子が余る。
座席も男女均等に座らせても、当然男子が余る。

「ははは、偶然ですね、銃兵衛さん」
「これも何かの縁じゃのぅ」

隣同士。
ジョーのように運命を信じているわけではないが、
ここまで偶然が重なるとは恐ろしいものだ。

「ナナ殿は一人で寂しいかもしれんな……」
「そうですね」

担任の自己紹介を聞きながら、小声で話し合う。

「………女子は、あまりビーダマンをやらんからのぅ」
「二ヶ月以上もビーダマン漬けの生活でしたからねー。
 話合わないんじゃないですか?」

他人事のように微笑むテルマに、頷く。
まあ、勝気だが気立ては優しいので、孤立することは無いだろう。





04.昼休み


「来てやったわよビーダマン馬鹿共」

むすりとした顔で、堂々と他クラスに入ってきたナナ。
テルマが、わざとらしく驚いた声で尋ねた。

「あれ〜、他人の振りじゃなかったんですか?」
「ふん」

少女は腕を組んだまま、どかりと背もたれに寄りかかった。


「あんたら二人じゃ、同級生と話が合わないんじゃないかって
 心配して来てやったのよ。感謝しなさい」
「「…………………」」


どこかで聞いた台詞に、テルマと銃兵衛は顔を見合わせた。


「くくっ………あははは」
「か、考えることは同じなのでござるな……!」
「ちょっと、何二人で笑ってんのよ!!」