「嘘ついたらはりせんぼん飲―ます、指切った!」
公園で小さい子どもたちがそんなことを言っていた。
ベンチに座っていたナルトも勿論その歌は聞こえていた。
ナルトはくるりと横を向いて、シカマルの顔を窺う。
その視線に気づきシカマルもナルトの顔を見る。
「・・・何だよ」
「あいつら嘘ついたら針千本飲ますのか?」
「じゃないのか?」
「どうやって?」
「・・こぅ、一本一本口をあけさせて喉に詰め込んでいくんだろ」
「痛そう・・・ってかそれ拷問じゃないか?」
「それだけ嘘をつくことが大罪だってことだろ」
しみじみとナルトは歌っている子どもたちを見る。
「なかなか見上げた心意気だな」
「ああ。イビキもびっくりだな」
会話を終了し、お互いまた公園の風景を眺め始める。
子どもたちはまだ遊んでいる。
「・・・・なぁ」
今度はシカマルがナルトに話しかける。
「何?」
「さっきのはりせんぼん、だがよ」
「うん」
「あれって、実はハリセンボン。フグじゃないのか?」
「・・・なーるぅ。フグを飲ませるわけだな」
「窒息死させかねないもんだな」
「これもやっぱ拷問に近いよな」
「それだけ嘘をつくことが大罪だったんだな」
「こんな山里でわざわざフグを取ってくるのもスゲェよな」
「あぁ・・・」
しみじみと、シカマルは遊んでいる子どもたちを眺める。
「・・・・・・ってかナルトもシカマルもマジで言ってるわけ?」
二人の座っているベンチの後ろから、ぬっと顔を出してカカシが尋ねる。
元から気づいていたので、二人は決して驚く様子は無い。
「何が?」
「その、拷問とかフグとか」
ナルトが冷めた眼でカカシを見やる。
「んなもん本気で信じるわけないじゃん」
シカマルが哀れむような眼でカカシを見る。
「カカシさん、大丈夫ですか?」
「・・・・・・・・・・」
妙に棘のある二人の言葉がカカシの心に食い込んだりする。
カカシがとぼとぼと帰ってからしばらく、やはり二人は公園でベンチに座っていた。
「・・・・なぁ、シカマル」
日の光も少し落ちてきて、オレンジがかった髪になったナルトは、
そう言いながら自分の小指をつき立てる。
シカマルも何かを察したのか、ナルトの小指に自分の小指を絡ませる。
「どっち?」
「俺はフグ。ナルトは?」
「じゃあ針」
指きりげんまん 嘘ついたら はりせんぼん 飲―ます
「「指切った!!!」」
お互い絡ませていない方の手からクナイを取り出す。
が、鋭い金属の弾かれる音が聞こえてくるだけだった。
「・・・ちっ」
「お互い、考えることは同じだったみたいだな」
「そうだな」
夕日が沈み始める黄昏時。
物騒な子どもたちもやっと家路につく時間。