可愛い
下忍の任務が無い休日、
担当上忍たちに同じく休みがあるわけもなくカカシは比較的時間のかからない
Aランクの任務を4件入れられていた。
面倒だなぁ・・・とぼやきながら並木道を歩いていると視界に茶髪の暗部服を着た青年が立っていた。
駆け寄りながら気に寄りかかって本を読んでいる彼を呼び止めた。
「ナルトー、おはっ・・・ボハッ!!!」
カカシが挨拶を言い終わる前に、呼び止められた青年のアッパーが見事決まった。
綺麗に弧を描いて後ろに吹っ飛んで、受身も満足に取れず床に叩きつけられた
カカシの胸倉を掴みながら青年は険しい眼を向けた。
「おい、俺はコノトだぜ?」
「いやーごめんごめん。ついクセでさ」
「馬鹿ねぇ、そんなクセがあるなんて忍び失格よ?」
コノトと呼ばれた青年は手を離し、後ろを振り返る。
カカシと同じ下忍の担当をしている紅とアスマが立っていた。
「・・もしかして、三人で同じ任務なのか?」
「そうだ。全く、俺たちにも休みくれたっていいのになぁ・・・・」
アスマは咥えていた煙草の灰を一度落としてからまた吸い始める。
「・・ねぇ、変化といてくいれない?」
いきなり紅がコノトに向かって、声を潜めながらそう言った。
ぎょっとするようにカカシとアスマが紅の顔を凝視する。
いたって真面目な顔だった。
「・・・・・・なんで?」
「いや、本当にナルト君がコノトなのかなーって」
この前、何の前置きも無く『俺の正体はナルトだから』と言って
驚く暇も無くさっさと帰ってしまったのだ、この目の前にいる暗部は。
「別にいいけど」
大して気にした様子も無く、簡単な印を結ぶと
ボンッ、と音を立てて変化が解かれ、確かにそこには見慣れた金髪の少年が立っていた。
「これでいいってば?」
「・・・・・・・・・・・・」
ナルトがじっと見上げているが、紅は何も答えない。
不審に思ったナルトが近づいて顔を良くみようとすると・・
「可愛い!!あー、持って帰りたいー!!!」
紅はそう叫んでナルトを抱きしめて叫んだ。
思わず、カカシとアスマ・・勿論抱きしめられている当人も固まった。
「・・・お、おい紅?」
いち早く立ち直ったアスマは困惑しながらも紅に話しかける。
「だって髪はふわふわしてるし、眼はくりっとしてるし・・抱きつかずにはいられないぐらい可愛いんだもんv」
にっこりと笑顔を振りまきさらに抱きしめる腕に力を入れる。
ナルトは兎や子犬の類じゃねぇだろう!
・・・と思うアスマとは正反対に、カカシがその話題に乗ってきた。
「わかるわかる!!もう、この眼とか仕草が四代目にすごい似てて可愛いし、
昼は『カカシ先生v』で夜は『カカシ』だよ!!このギャップがまた堪らないっ!」
「いや、そりゃ変態だって」
アスマは煙草を咥えたまま器用にカカシにつっこむ。
「おいアスマ先生―、この人達なんとかしてくんない?」
「俺がこの二人相手に太刀打ちできると思ってんのか?」
「思わない」
「・・・・・・・・・はっきり言うなよ」
がくっと肩を落とすアスマは放っておいて、ナルトは頭を撫でるカカシの手を払う。
それと同時に抱きついていた紅を無理矢理引っぺがして距離を取る。
「いい加減にしてくんない?俺ってそこまで可愛い子供じゃないんだから」
「「いや、十分可愛いから」」
「・・・・・・・」
ナルトは無表情でじっと二人を見つめる。
やばい、かなり怒ってるだろ!!とアスマだけは冷や汗をかいて一歩後ずさる。
「何やってんだ、ナルト」
その場の雰囲気を崩すようにナルトの肩を叩く人物が現れた。
ぱっと見るかぎり普通の青年だった。
右手にスーパーの買い物袋を持ち、左手には小さな文庫本を持っている。
その青年に話しかけられたナルトは、先ほどの怒気は一気に霧散した。
「・・・・こいつらがうっさい。ちょっと助けろよ」
「面倒ごとには巻き込まれたくないからパス。だけどさっさと帰って来いよ」
「今日は何?」
「天ぷら」
「サツマイモに南瓜に人参とピーマン?」
「そう、あと鯖も買ってきた」
「人参とピーマンはいらない」
「駄目」
「・・・あのー、あなた誰?」
紅が割り込むように話しかけると、青年は困ったように頭をかいた。
「えー・・っと、ナルト君と親しくさせていただいているものです」
「こいつはシカ「黙りなさい」」
ナルトが何か言おうとしたが、それをすぐさま隣の青年は口をふさぐ。
それにむっとしたカカシが手を出そうとすると睨まれた、二人に。
「おい、さっさと行くぞ・・ナルト」
「わかったよ。じゃーね、先生たち」
さっさと歩いていった二人を、カカシは口をあんぐりと開けたまま見送った。
仲が良さそうにじゃれあっているのは遠目からでも確認できる。
「・・おまえは随分普通そうだな」
「あら、別にナルト君に恋人がいても私には関係ないわ」
ありゃ恋人か?とアスマは思ったがあえて何も言わなかった。
「・・何よりいいネタ提供してくれそうだしね!」
そう言ってメモを取り出して、何やらさらさらと書きとめている紅を、
アスマは恐怖さえ感じた。
「何、メモってんだ?」
「さっきのことを忘れないうちに。もっと詳しく知りたいなら一から教えてあげてもいいけど?」
「すみませんでした、もう聞きません」
別に聞いていいのに・・・とぼやく紅から目を背けてカカシに近寄る。
白っぽく灰と化しかけている膝をついていつまでもナルトたちの歩いていった方向を見ている。
「ナルトー・・・・・・・・・・・・」
話しかけても無駄だ。
アスマはそう判断して小さくため息をつく。
ひょっとしたら、今日の任務は自分ひとりで頑張ることになるかもしれない。
沈みかけている夕焼けを眺めながら、アスマは煙草をもみ消して幸の薄い笑みを浮かべた。
藍堂 由紀恵様 「上忍にモテるスレナルバレネタ」
上忍三人しか出て無いじゃん!
しかもアスマ全然迫ってないし!!
更に言うとバレネタか!?微妙に違くないか!!?
・・・うわー・・・・・。
ショタコンと腐女子の同僚に囲まれながらもアスマは頑張ってます☆(最後だけテンション上げて誤魔化すなよ)
NARUTO→