あるうららかな午後、ナルトはシカマルの家へ一直線に向かっていた。
シカマルとの仲はアカデミーでもよく知られていることだった。
だからといって親友と言えるほどべたべたしているわけでもないので
彼がナルトの身代わりで里人やクラスメートに苛められたりすることは無かった。(苛めたらナルトが即殺す)

「ナルト?」

横から声がしたので振り向くと、サスケがいた。
「どべ」のナルト(他大勢)を見下している観があり、アカデミーでトップの成績ではあるが、
精神的に単純というか馬鹿なのであまり相手にはしたくなかった。
「なんだ、サスケだってば!おまえこんなとこで何してるんだってばよ?」
ここはうちはの家からも離れている。というか一面畑だ。
サスケはゆっくり左手を出した。
背の低い木が囲いのように生えていたため腰から下が見えなかったのだが、
右手には小さなざる、左手には1個のトマトがあった。

・・・・あー、そういえばこいつトマト好きなんだっけ?
女子がキャーキャー言ってる美少年がざる持って畑でトマトの収穫・・。
「サスケ君」ファンに見せてやりたいね。

内心茶化しながらも表情を取り繕う。
今度はサスケが質問した。
「・・・おまえ、それが今日の夕飯か?」
ナルトは片手にスーパー袋、外からでもわかるぐらいカップ麺が入っている。
これは夕飯ではない。
シカマルの家に持っていく非常食だった。
よく付き合うようになってわかったのだが、シカマルは真正の無精者である。
とりわけ書物が絡むと睡眠も食事も日常の生理現象を全て無視して読書にふける。
・・それでも料理は上手いのだから流石天才というか。
といっても食材は傷みやすいので、日持ちする食品を時々ナルトは手土産に買っていってやるのだ。
「(本当は違うけど)それが何だってばよ?」
「栄養が偏る。少し分けてやる」
そう言ってサスケはポケットから袋を一枚出し、トマトを入れていく。
親がいないナルトに自分を重ねているのか、サスケは時々ではあるが
妙に優しいことがある。うざったいといえばうざったい。
「い、いらないってばよ!俺はこれだけで十分!」
「表」のナルトはあまり野菜を食べない。偏食という設定なのだ。
だが実は、素のナルトも野菜全般は好きではない。食べようと思えば食べれるらしいが。
「ふん、そんなんじゃお前いつまでたってもドベだな」
サスケは手を止めて肩越しに視線を寄越しながら哂う。
・・・安い挑発だとはわかっている。
野菜をそんなに食べなくても強くなれるのは自分が一番実証しているのだから。
だが、「どべ」のナルトは、挑発を見破れるか?・・・・・否。
「むっきー!!貰うってば!そんでお前より強くなって火影になるんだからな!」
トマトお持ち帰り。

「・・・んで、いらないから俺にやると?」
「そう、貰えv」
シカマルはため息をつきながら大量のトマトを見た。
「めんどくせー、おまえ食えばいいだろ?サスケだってそのつもりでやったんだから」
するとナルトはむっとしたように睨んだ。
「俺トマト嫌い」
それに対抗するようにシカマルも睨み返した。
「だったら貰うんじゃねぇよ、大体暗部の癖に好き嫌いありすぎなんだよ」
「シカマルだってゆでたまご嫌いじゃねぇかよ!」
「俺はゆでたまごじゃなくて固ゆでしたのが嫌なんだよ!」
「うわ、ちょーデリケート!!ってか坊ちゃん?お子様〜」
「てめぇこそ野菜嫌いだから食わないなんて木の葉丸よりガキなんじゃねぇの!?」
木の葉丸は火影邸に行くと時々会う子供である。
三代目の孫として甘やかされてきたせいかわがままで煩い。(まだやっと立てるようになったのだからしょうがないといえばしょうがない)
バチバチと火花が二人の間に散っている。
ナルトがこんな馬鹿らしいことで口喧嘩をしているなど、三代目あたりが知ったら泣いて喜ぶだろう。
(この会話、三代目はきちんと見ており、ナルトに子供らしさがあったことに生涯で一番感動したらしい。)
シカマルは無言でトマトの入った袋を台所に持っていった。一応貰ってくれるらしい。
ナルトもそれ以上何を言うわけでもなく居間の椅子に座り込んだ。
シカマルの両親は二人とも忍びで、家にいないことが多い。
実際、よくこの家に入り浸っているナルトも両親にはあったことがない。
だが、他の里人と違い(というか変わっていて)ナルトのことは嫌っていないらしい。
家に来ていたり、シカマルと仲がよいことも知っている。(シカマル談)
「おい、折角なんだからナルトも少しは食えよ」
シカマルはそう言いながら皿と箸を持ってきた。
トマトのスライスで、何か粉がかけてある。
渋々渡された箸を使って一番小さなものを取って口に入れる
「ん・・・・何これ、甘っ・・砂糖!?」
まさかトマトに砂糖をかけるとは・・。
「え?お前トマトに砂糖かけねぇの?」
シカマルはさも意外そうに問う。どうやら嫌がらせではないみたいだ。
「塩とかマヨネーズじゃねぇの?普通は」
「そういうもんか?・・・でも不味くはないだろ」
「うん、意外。これなら俺トマト食える。甘くて菓子みたいだし」
箸を持っていくナルトをシカマルは嬉しそうに眺める。

((こういう日もいいかもしれない))













一部実話です。
えー、うちの実家ではトマトの薄切りを砂糖につけて食べます。
甘くて本当に美味しいです。
それをクラスの友人に話したところ
もんのすごく嫌な顔をされて引かれました。
友人よ、食ってみろ!!