「・・・・ねー、シカ。今回はもうちょっと地味じゃないことしたいな」
「んー」



前回は、木の葉の川の生態系を崩してやるぜ!
なんて壮大なことを考えたはいいが、随分地味に終わってしまった。
しかもどっかのガキがこの前里の川で見覚えのある大魚を釣っていたのを目撃したり。
もう計画失敗なのは明々白々。
とりあえずナルトのアパートでゴロゴロしながら計画会議。
シカマルが足を伸ばすと、狐の尻尾に当たってしまった。

「ギャッ」
「・・・・そういえば、こいつ住処に返さないとな」
「ったって、俺同様この狐だって里の格好の標的だし、
 下手にまた森に帰せば苛められるぜ?」
「・・・・・・・・うーん・・里の外の森に帰せばいいんだろうが」


ナルトとシカマルのため息に、狐は困ったように
二人の間をうろうろと歩き回る。
シカマルは、その狐のしっぽをむずと掴んだ。
何度かその感触を確かめ、真面目な顔でつぶやく。

「・・・・マフラー」
「やっぱそれっぽいよな」


こう、狐まるごと一匹を首に巻くようなアレ。
悪趣味だとは思うが、とても保温性に優れている気がする。
巻きたい・・

「あ、これどう?俺たちが変化で大人になって、
 この狐をマフラーとして巻く。それで里から出ちまえば・・」
「んー・・・・でも、里から出るには通行証が必要だってばよ。
 俺も一回、外に出てみたくって、変化してったらばれた」
「ばれて、よく無事だったな」
「ふははは!俺ってば逃げるのは大得意さ!!」

ナルトの自慢にならない自慢を聞き流し、
シカマルは唸りながら知恵を絞る。

「・・・ナルトー」
「おう、何さ」
「狐だけ花火っぽく打ち上げて外に出すってのは?」
「・・火薬の量と狐の耐久力に全てがかかるな」
「一応可能なんだ?」
「まさか花火とともに脱出なんて考えないだろ。人間じゃ無理だし」
「じゃ、それでいこう」


壁にかけられていたカレンダーを捲り、シカマルは再度頷く。
夏祭りまで丁度一ヶ月と数日。
その間に綿密な計画と、実験を繰り返せば、
木の葉の夏の夜には恒例の花火大会に紛れ込ませて狐を送り出せる(はず)。


「よーし、頑張るぞーシカ!魚釣りよりはなんか派手で俺好み!!」
「そうだな。狐も・・・生きて帰せるよう頑張ろうぜ」
「ギャ・・・ギャウ・・・・・?」
「安心しろってば!恐らく命の保障はできると信じていないとやってけない気がするだろ!」
「ナルトー、言ってることが複雑怪奇になってる」



とりあえず、多少不安は残るものの狐を森に帰してやる手段を考え付いたので、
今日はもうゆっくりできるか・・とシカマルは欠伸を一つかいた。











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