「まず、土方さんを殺そうとした犯人はここにいやす」
「・・・・えっ、本当ですか!!?」
律儀に反応を返す山崎。
「まあこれは、探偵モノによくある台詞だから儀礼的に言っただけですが」
「ってそういう理由かよ!!全然論理的な推理じゃないじゃん!!!」
「山崎さん、とりあえずツッコミたい気持ちは抑えて、最後まで聞きましょうよ」
ベテランツッコミの新八は、ぽんと優しく山崎の肩を叩く。
それに複雑そうな顔をしながらも山崎は頷いた。
「土方さんは毒殺されかけました。つまり、これは計画的犯行になりますねェ。
 毒は山崎の出した茶菓子に入ってたわけだが・・
 山崎、この茶菓子はどこから入手したんだ?」
「え・・・えっと、屯所の冷蔵庫に入ってたのを選んでお出ししたんです」
いきなり話をふられて、少しどもりながらも山崎は答えた。
それに頷いて沖田は話を続ける。
「ってことは、犬とチャイナ娘を除いた他の方なら誰でも毒を入れることができることになりますぜ」
「・・・っつか何で俺は除外されないわけ!!?」
銀時が沖田の胸倉を掴みかかる。
「だって旦那、土方さんの部屋によく侵入してますよね?」
「・・・・・・・・・・・・ぅ」
「うわー・・ホモ、ホモがいるアルよここに」
予想もしなかった沖田の切り返しに言い返せない銀時。
それをここぞとばかりにネタにする神楽。
「・・・銀さん・・・・あんた本当に何やってんっすか・・」
「うっせーよ、新八!!いいよなぁ、おめぇははなっから容疑者に入ってないんだから!!!」
新八にやつ当たる銀時。大人気ない。
「だって僕は真撰組にも土方さんにも恨む動機ないですもん」
「・・・いや、ほら、あのゴリラ女がストーカーされてて・・っとかよぉ」
「銀さん・・・あんた犯人じゃないならもっとしゃきっとしてくださいよ・・」
新八を容疑者リストにいれようとしている銀時に呆れる新八。
「・・・・まぁ話を続けましょう。毒を盛られていた菓子は、
 甘いものが苦手な土方さんが唯一気に入っている和菓子です。
 つまり、ある程度の確立で土方さんを狙っていたと言ってもいいわけです」
「ふむふむ・・あれだよね、○和の芋羊羹」
「ええ、舟○の芋羊羹です・・・やっぱり旦那はご存知でしたね、土方さんの好物」
「あ、やべっ」
「まあ、そんなこと攘夷志士の連中が知ってるわけねぇんで、やっぱりこん中に犯人はいやすね」
「・・・・・・で、前説はもういいよ、犯人は誰なんだ?」
銀時がじっと沖田を見る。
沖田は無表情でその視線を受け止める。
「・・・・犯人は」
ごくり。
全員が固唾を呑んで沖田を見る。
「てめぇだ阿呆!!!」
ばきっ。
そんな擬音と共に沖田の頭は拳骨で思いっきり殴られた。
「ってぇ・・・・」
「何が痛ぇだ!!俺に変な薬盛りやがって!!」
「あー、なんだ・・土方さんもう復活しちゃいましたか」
ぜぇぜぇと、息切れを起こしながら立っている土方。
あまり本調子とは言えなさそうだ。
「ふ、副長大丈夫ですか?!」
「んなわけ・・・ねえだろ!」
「ってか犯人って・・」
先ほどとは違う意味で沖田に視線が集まる。
「ああ、土方さんに薬持ったのは俺ですぜぃ」
「あんたかよ!!!!!」
しれっと言った沖田に思わず山崎がつっこみをいれる。
「やっぱなぁ・・銀さんはそうだと思ってたぜ」
「いや、あんた思ってなかったろ絶対」
「親父っぽいネ」
銀時の言葉に子どもたちの鋭い言葉のナイフが刺さる。
顔には出さないが、少し親父発言に傷つく銀時。
「で、でも何で隊長がそんなことを・・・」
「山崎・・・おめぇ、それを総悟に聞くか?」
「・・・・・・・・・・・・そうですね」
「ってかもう俺ら帰っていい?」
物事がまとまりかけているとき、ふと銀時が言った。
「ああ、もういい。近藤さんも・・・って近藤さん!!!?」
土方がふと近藤を探そうと部屋をぐるりと見渡すと
・・・・・頭から血を流しながら白目をむいている近藤を見つけた。
「・・・言っときやすけど、俺じゃねぇですよ?」
「・・・・わかってる・・おまえが近藤さんを攻撃するとは思えねぇし」
「あの・・それより手当てをした方が・・・」
「ああ。・・おめぇは確か・・とりあえず手当てするから手伝ってくれねぇか?」
「はい、姉上のおかげで傷の手当てには慣れてるんで・・・・」
「・・・・・・・大変だな。とりあえず、救急箱取りにいく」
遠い目でどこかを見る新八に、妙な親近感を覚える土方。
「・・・・また事件発生?」
銀時の嫌な予感。
沖田はにやりと笑った。
「犯人はこの中にいやすぜ」
「・・・隊長、実はその台詞が言いたくて副長殺そうと・・・がはっ!」
山崎は言葉を言い終える前に、沖田によって瞬殺されてしまった。
・・・どうやら図星らしい。
「まぁ、ともかく・・近藤さんを殴り殺した犯人を捜しましょうぜ?」
「そうだな」
「ってか局長は生きてますよ・・・」
近藤の手当てをしながら同意する土方を見て、
沖田はくるりと万事屋三人組を見る。(山崎の言葉は無視)
「あんたらも容疑者だからここに残ってもらいます」
「「・・・・またっすか?」」








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