俺が差し出した飯を、何とか食わせるまではできたんだが
すっごい泣きそうな顔をされた。
・・悪ぃ、ピーマン嫌いだったんだな。
しばらく落ち着かせてから、改めて怪我を診てみたけど
ほっとんど大した傷はなかった。
あれから半刻も経ってないのに随分とすげぇ回復力なんだな。
だけど少し残ってる傷を見て、先ほどの忍者たちを思い出した。
かなりむかつく。
こんなガキに勝手な苛立ちを思いっきりぶつけるなんて、
忍者どころか人として風上に置けねぇ。
ナルトは日常茶飯事なのか、ほとんど気にしてないみたいだけど、
それが余計嫌な気分になる。こんなのに慣れるなんて絶対おかしい!
「俺は、別に気にしてないけど。
・・・・シカマルだっけ?ごめん、お前巻き込んじゃって」
「おい、何謝ってんだよ。悪いのはあいつらじゃん!」
「・・・・・・」
ごめんとか謝られてびっくりした。
だって、おまえ本当に悪く無いじゃん。
こういう環境でずっと育ってるとそんな風になるのか?
ナルトの言葉を否定すると、かなり強い目つきでこっちを見返された。
・・・・・なんだ、こいつ自身、一番わかってる、ってことか。
・・そうだよな、全然こっちが悪くないのに
ボコられるなんて納得できるわけないもんな。
無神経なこと言っちまった。
「俺だって・・、嫌だもん。殴られるの」
謝ろうかなって思ったら、ナルトは膝を抱えながらぽつりと呟いた。
どうしよう、かなりネガティブになってねぇ?
「だけど、あいつら忍者だし、里ぐるみで団結してるし。
こっちだってあんな奴らと係わり合いになりたくないし。
いっそのこと里を離れようかとも思ったけど
そんなことしたら抜け忍扱い並みの危険物扱いで追いかけてくるっぽいし!!」
ぎりぎりと手に爪が食い込んでるのに、痛がる素振りも見せず愚痴ってる。
おい、チャクラだだ漏れだぞ。
俺と同じぐらいの子どものくせに、もう練れるのかよ。
・・・・正直、おまえのチャクラ、殺気と似通っててめっちゃくちゃキツい・・・
って、ちょっと、鹿が怯えてるぞ!どこまで禍々しいんだよ!?
九尾のせいもあるんだろうけど、
多分、うちはや日向なんかよりも、こいつ絶対忍者の素質ある。
・・・それはともかくとして、こういう時ってどうすればいいんだろ。
下手に慰めても傷つけるだけだしな・・・・・・
『シカマル、あんたは他の子と違いすぎて、苛められる時がきっと来るわ。
いい?やり返しなさい、半分といわず五分の四殺しぐらいやりなさい!!』
『何で?』
『苛められたら苛め返すのが世間の常識よ』
・・・・母さんありがとう。
よくわかんないアドバイスで今の今まで忘れてたけど、
結構役に立つかもしれない。
「おい、ナルト」
「何?」
「やり返そう」
「はぃっ?」
「いいのか?おまえ、やられっぱなしでいいのか?」
「・・・・・・・・そんな、簡単じゃないもん」
ナルトは泣くのを我慢するように、目をしばたかせて俺をじっと見る。
いや、見るなんてもんじゃなくかなり強い視線だ。
ってかこいつ、目が口以上に語ってるよな・・・。
こんな大きい里に、何をどうやってやり返すかなんて
俺自身全然見当もついていないけど。
何とかしてやりたいと思った。
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