どうやら火事が起きているらしい。

窓辺から煙と共に逃げ出す兵士たちが確認できた。
流石に、このままずっとここにいれば焼け死ぬか、煙による中毒死か、だ。
あと少し待って誰も来なかったら自分で抜け出そう。
ナルトはそう決めて窓辺に立ちしばらく待っていると。

「ナルト無事!?」

カカシが息も絶え絶えに扉を開けた。
何故か傷が沢山ついている。
火事だけなのに、何故に。

「いやー、あのロボット、近くの兵士より遠くの俺を集中的に攻撃してきてさ。
 なんとか無事にここまでたどり着いたよ!さ、逃げよっ!!」

どうやら、ご主人様の嫌いな人間をちゃんと識別できるらしい。
ラピュタの科学技術万歳!と内心思いながら、ナルトは頷いて走って行った。


下は火が強いので上に上り、そこから脱出するようだ。
螺旋階段を上っていると下のほうにラピュタのロボットが顔を覗かせた。
ナルトは笑みを隠せず俯いた。

このままいけば、この要塞は確実に全壊する。
あのラピュタロボの破壊力は使えるし、
いっちょ本気で世界征服でもやってみようか。
まず手始めにここから破壊しろ!!
ってか、早く来いってラピュタロボ!カカシをぶっ倒しちまえ!

ナルトの心情に答えたのかどうだかは不明だが、
ラピュタロボは階下から羽を伸ばし、飛んだ。
「なっ、あいつ飛べんの!?」
「うわー」(←輝く眼)
「ちょ、やべっ、ナルト、スピード上げるヨ!!」
「いや、もうあんたに用は無いから」
ナルトは階段を駆け上がりながら、手を掴もうとするカカシの腕を
両手で握り締め、ラピュタロボめがけて振り落とした。
「ぎゃーーーーーーっ!!!!」
「ばいばーい、変態カカシ〜」
ゴツッ、と鈍い音がしたから鳴った。
おそらく見事にロボに命中してくれたのだろう。
ナルトは笑いを隠さずに、そのまま屋上を目指し再び走り始めた。


「ふー、久々にいい運動したな」
十数階分ぐらいはありそうな階段を駆け上がり、少し息を切らせながらも何とか屋上に着いた。
ナルトは煉瓦の縁から身を乗り出して様子を見る。
火災と人の逃げ出す様がまるで地獄絵図のようだ。
背後から、大きな音が聞こえてきたので、後ろを振り返る。
ラピュタロボはちゃんと自分に着いてきてくれた。
「よお、ラピュタロボ」
ナルトの声に反応したのか、大きな機体とは不釣合いな
ピョコピョコとした音でロボが反応する。
おそらく音声認識のようなものなのだろう。
何か合言葉でもあるのか・・・
そう思いナルトが更に言葉をかけようとした時、いきなり懐の飛行石が輝いた。
「・・・・・っ!?」
今までも何度も光っているところは見てきたが、少し勝手が違った。
いきなりある一方向を指し示したのだ。
どういうこと・・・まさか、この光の先にラピュタがあるということなのか。

まあそんなことはどうでもいい。
まずはこの要塞の破壊だ。

おおよそ物語のヒロインとは思えないほどの性格の悪さで
ナルトはラピュタロボに話しかける。

「なあラピュタロボ。お願いだからこの要塞をは・・「ナルト!!」

周りの音が煩いなか、凛として聴こえてきた声。
小さな声なのにナルトの耳にははっきりと聴こえた。
そう、これは。

「シカマル!?」

こんな早くに来るなんて。
・・・・来てくれるなんて。
今まで考えてきた邪悪な目論見を全てほっぽりだして、
ナルトはシカマルを探そうと必死で周囲に目を凝らした。