「ナルト!!」
「いきなり叫ぶな!・・・って、あの子がいたのかい?」
後ろにいるシカマルに綱手は大声で問う。
本来、潜入するときは静かに、が基本だが、これだけ騒ぎになっていれば
多少何が起こっても気にする輩はいない。
「ああ、正面のあの小さな塔にいた!」
綱手はシカマルが言うところに目を凝らして見つめるが、何も見えない。
はたして信用できるのだろうか。
「ばあさん!!」
「ちっ、信じるしかないねぇ。女は度胸、お前らも援護しな!!」
周りにいた海賊たちに指示を飛ばし、綱手も一気にスピードを上げる。
「・・・・ナルト!」
「シカマル!!!」
精一杯シカマルに向けて声を張り上げるナルト。
背後にいるラピュタロボは完璧に存在を忘れられている。
「ナルト!!?」
「シカマル、こっち!!」
煙に囲まれた中、シカマルと綱手の姿がナルトの側からも確認できた。
「ナルト、手を伸ばせ!!」
シカマルの呼びかけに頷いて、ナルトは手を伸ばす。
「ったた・・本当に、ナルトったら酷い・・・・」
階下まで突き落とされながらしぶとく生きていたカカシ。
彼はナルトを追いかけず、司令室に向かっていた。
「あー、カカシさん。・・・大丈夫っすかぁ?」
「ゲンマ?お前こんなとこで何やってんの」
「んー、まー色々と」
捕まっていたシカマルの資料を破棄していたとは口が裂けても言えない。
その反応にカカシは少し疑問に思ったが、それどころではなかった。
ゲンマを押しのけて奥に入り、基地内の通信機に手を伸ばした。
「こちらカカシ大佐。ロボットにより緊急事態発生。俺が臨時で指揮を取るから。
飛行石の子どもは屋上に向かっている、ロボットも子どもを狙って一緒。
砲弾飛ばしてロボット破壊しろ。子どもは傷つけるな」
早口で言い切るとマイクを乱暴に机に置いた。
冷静な命令は、大佐としての威厳が感じられる。
側で見ているゲンマを一瞥し、カカシはそのまま駆け足で部屋を出る。
「ナルトー!!今助けに行くから待ってろぉ〜!!」
大声で叫びながらフェードアウト。
先ほどの『カカシ大佐』とは全くの別人にみえる。
「・・・・変態でさえなきゃ、まだマシな軍人なんだけどなぁ・・」
ゲンマの小さな呟きは、当然誰も聞いているはずが無い。
『ダーンッ!!!』
「ちょ、えぇ?!」
「何でこっちに砲弾撃ってくるんだよ!」
爆音と閃光に、シカマルの伸ばしたては上手くナルトを掴めなかった。
もう一度、と手を伸ばすが綱手はナルトたちから離れた。
「ばあさん・・!?」
「わかってる、だがここは危険だ、チャンスはこれっきりだと思え!!」
「・・・・ああ」
失敗すれば、ナルトの、そして自分の命は無い。
シカマルはナルトを見た。
今の状況を理解しているのだろう。ナルトも真剣な顔でこちらを見返した。
「ナルト・・行くぞ」
「おう」
綱手は急旋回して、猛スピードでナルトの元に突っ込む。
燃え盛る炎と煙の中で、金髪がきらきらと反射している。
火災現場では目立って見つけやすい。
『ド−ンッ!!』
新たな砲弾の音。
だが気にせず綱手はアクセルを踏む。
ナルトもシカマルも瞬きもせず手を伸ばしあった。
周囲に、閃光と衝撃が走った。
眩しさの中、シカマルの手の感触を得たナルトが見たのは、ラピュタロボの顔。
「・・・ナルト」
「シカマル・・・・」
しっかりと握り合った手。
なんとか、危機は脱したらしい。
シカマルの手から機体によじ登るナルト。
「・・・なぁ、あのロボット」
「・・うん。ラピュタロボ、俺たちを砲弾から庇ってくれた」
ナルトの背後で静止していたラピュタロボ。
着弾する寸前、いきなり動き出してナルトたちの横に立って身代わりとなったのだ。
もしラピュタロボが庇わなければ、おそらく三人そろって仲良く死んでいただろう。
「ちょっとカカシ?あのロボットどうなったのよ!?」
満身創痍なカカシと違い、全くの無傷なアンコ。
彼女ならきっとラピュタロボとタイマン張って、勝てる。
と基地の兵士たちは認識している。(あながち間違っていない)
「破壊しましたよ。子どもはあっちです」
と言いながら空を指すカカシ。
「・・・・・・あんた、とうとう頭までぶっとんだのね・・」
「違いますよっ!海賊たちに攫われちゃったんです!!」
「ふーん。じゃあラピュタ見つけられないじゃないの」
「いや、それが・・・」
そう言ってカカシは握っていた左手を開く。
一つの方角に向けて光を発している飛行石。ナルトのペンダントだ。
「・・どうしたの、これ」
「いやー、なんか砲撃の後に落ちてきたんですよ」
「そう・・・。じゃあ、あんたら火を消しなさい!海賊に追跡隊もつけんのよ!!
カカシ、予定通りラピュタに向けて出発するわよ?」
「了解。アンコ将軍」
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