「シカ〜、会いたかった・・・!!」

軍基地から大分離れて落ち着いたところで、
ナルトはシカマルに抱きついた。
シカマルはナルトに向かい合って、頭を軽く撫でた。
先ほど炎の危険に晒されていたとは思えないぐらい、その光景は穏やかなものだった。
「・・・信じらんねぇなー、あいつが綱手様みたいになるなんて」
「女とは変わるものだ」
「いや、あいつ男だから」
キバとシノ、サスケはこそこそと会話をしている。
チョウジは運転しながら器用にスナック菓子を食べている。
「・・・ねえ、シカマル」
「何だよ」
「この女の人って海賊さんだよね。どうしてシカマルと一緒にいるの?」
「利害の一致で、ナルトを連れ出すのを手伝ってもらった」
「ふーん・・・・ねぇ綱手さん?あなた、シカマルに手ぇ出したりしてないよね?」
ナルトは子どもっぽい舌足らずな口調で綱手に問う。
だが背後に漂っているオーラはどう見てもドス黒だ。
それでも綱手も伊達に女の身で海賊の頭などやっていない。
ナルトに怯むことなく軽快な口調で答えた。
「はは!私はガキに手を出すほど落ちぶれちゃいないよ。
 ・・・あんたら、似合いのカップルじゃないか」
「・・・・・・・・綱手さん、良い人だね」
「っておい!!カップル否定しろよナルト!!!」
顔を赤らめるナルトに思わずシカマルも身をそらす。
「で、あんたらこれからどうするんだい?」
「・・・シカマル・・」
「わーってるよ。綱手さん、俺たちを船に乗せてくれないか?」
シカマルが真剣な声音で話しかけると、先ほどとは打って変わって綱手も真面目な表情になった。
計算高い眼だ。これが海賊としての綱手の顔なのだろう。
「船長と言いな。大体、飛行石を持ってないおまえらに何の価値があるんだい?」
「働きます」
「船長さん、お願いします。ラピュタの本当の姿を見たいんです・・・」
ナルトとシカマルの頼みに、綱手はしばらく黙り込む。

「・・・・・ったく、海賊船に乗るには随分不純な動機だよ」

「綱手様、こいつら乗せるんですか?」
「変なマネしたら海に叩き込むからね!」
「わかった」
「・・・やったー!俺もう掃除も洗濯もしなくていいのか!?」
「皿洗いも」
「料理もだな」
海賊たちがナルトに近づいた。
「なあ、プティングとかって作れる?」
「ミートパイは?」
「僕は・・えーっと、何でも食べるよ!」
「それぐらい手前で作れや」
「「「「え・・・・・?」」」」
この場の雰囲気が割れた音がした。
はっとしたナルトはにっこりと笑顔を作って場を取り繕った。
「あ、どうしたの?俺、プティングもミートパイも大好きだし作れるよ。
 ・・・シカマルは何か好きな食べ物ってあるの?」
「んあー?・・・鯖の味噌煮・・・・」
「・・・・・・・・・・OK」
まさか作る気なのだろうか。
こんな、空の上から魚をとるのはかなり難しいだろうに。


何だかんだでさくっと海賊船についたナルトたち。
二人とも、当然海賊船になど乗ったことがないので興味深そうに周囲を窺う。
「なあ、シカマル!ここきれが張ってあるぜ!?」
興奮したようにジャンプするナルト。
「あー・・ナルト、おまえの気持ちはすごくわかるが、暴れるな」
「止まってねぇでさっさと前行けよ!つまってる!!」
後ろから海賊に促され、ナルトは仕方なく前へ進む。
直線通路を歩いて行くと、一人の男が奥に立っていた。
真っ白な長髪に随分変わった服装の男だ。
男はこちらに気づき、二人を・・・・ナルトを見て眼を見開いた。

「・・・・・四代目?」

男は、そう呟いた。