『うー、危うく海の真ん中でどぼんになるとこだった・・』
金髪の少年が一人。海岸近くに立っていた。
ぜぇぜぇと息を荒くして今にもへたり込んでしまいそうだ。
『・・・・おぬし誰じゃ?空から降ってきおって』
『・・・・・・・・・もしかしてさっきの光景見ちゃいました?』
『・・・ああ』
横から声。慌てて見上げると、そこには白髪の青年がいた。
年齢はいまいち把握できないが、自分より若くは無いだろうと金髪の少年は見定めた。
『・・・・・・よし、お兄さん僕を家までつれてってください』
『何でいきなりおぬしをつれてかんきゃいけん!?」
『僕文無しなんですぅ・・ひもじいよー』
『・・はぁ、大体なんで空から降ってくるんだおめぇは』
『じゃあその経緯についてお話しますよ、あなたの家で!』
にこにこと金髪の少年は青年の腕にからむ。
どうやら連れて行くと言うまで放さないつもりらしい。

『自来也先生〜!あそこ、なんかぼこっと膨れ上がってますよ!!』
『阿呆か・・ありゃ山っつうんだ。この国には大抵どこにだってあるわい』
金髪の子どもは何故か自来也の家に住みつき始めた。
『・・・・先生に阿呆とか言われちゃったよ・・シクシク」
『・・・・・・おめぇ頭大丈夫か?』
地面に座り込んで『の』の字を書いている少年を見て、自来也は呆れる。
大体この少年は常識が無さ過ぎる。
・・・市場の青果を金も払わず平然として食っていたのを見た時は、
本気でこいつを町の修道院に捨てていこうかと考えた。

『・・・・先生』
『・・・・・・おまえは・・』
『お久しぶりです。連絡を全然せずにすみませんでした』
『おぬしが出て行ってから四年・・・・ぐらいかのぉ』
『はい・・今日は、聞きたいことがあってこちらに窺ったんです』
『何じゃ?』
『これ、いきなり僕の前に現れて・・捨てても離れないんですけど。何なんですか?』
金髪の男は小さなペンダントを出した。
石の中には見慣れない文字がつらつらと並んでいる。
だが、一文字だけ色が違って見える部分がある。・・・「4」
『おぬし・・・・そうか、四代目に選ばれたのか』
『四代目?』
『昔教えただろうが、火影のことだ』
『・・・・・・僕が』
『ああ・・・・・・・』
何と言葉をかけてやればいいかわからない。
凄いことだ、頑張ってくれ。・・・そんな無責任なことは口が裂けても言えない。
『正義の味方なんですかぁ!?』
『・・はぁ?』
『わぁ、かっこいい!!ナルくんに自慢できるじゃん!!!』
『ナルくん?』
『あ、先生。僕子ども生まれたんです〜。ほら、可愛いでしょう?』
写真を差し出す金髪の男・・いや、四代目。
そこにはすやすやと眠る小さな子ども。四代目と同じく金髪だ。
『先生に一枚あげますね〜!それじゃ!!』
『っておい!四代目だぞ、四代目!!そんな軽い気持ちで・・・・っていねぇし』


「ああ・・そういえば、ほれ・・・四代目がわしに渡してきたおぬしの写真。やる」
「え?」
そこには小さな自分がすやすやと眠る姿。
何故かカメラ目線な自分の父親が横で幸せそうに笑っている。
・・・・・自分でわざわざ撮ったのか。
「・・あの馬鹿親父・・・・・」
「くっ・・面白い親父さんだったんだな・・・・」
「シカぁ、笑いごとじゃないよ・・」
楽しそうに笑う子どもたちを見て、自来也も目尻が緩む。
(てっきり、五代目は四代目の子どもが受け継いだんかと思ったが・・
 ペンダントをしている様子は無いのぉ・・・・・)
ナルトもシカマルも、そんなものをしている様子は無い。
まあそれはそれで良かったのかもしれない・・と自来也は一人ごちた。