「ここから入ったんでしょう?何で開かないの・・」
目撃者が大量にいるのに、穴が開いたと言われた壁は
継ぎ目一つも見つからない。
火薬で吹き飛ばしても傷一つつかないから、
何か特殊な技術が使われているのはわかるのだが・・・
『開くぜ?』
「・・カカシ?あんたどこにいるの!?」
『こっちだって、どーぞいらっしゃいませー・・・アンコ将軍だっけ?』
突然壁に穴が開いて、小規模のホールのようなものが出現した。
罠かもしれない、が・・ここで止まっていてもしょうがないので、入る。
後に続いて他の兵士たちも恐る恐る入り込む。
「カカシ、あんたどこにいるの?」
『静かにしてくださいよ将軍。うるさくってたまったもんじゃない』
「・・・・・あんた本当にカカシ?」
声を聞く限り、どう見てもカカシなのに。
喋り方というか、雰囲気が自分の知るものとかなり違う。
ぐるりとホールを見渡すと、中央に突然天井からカカシと子どもが現れた。
しかも透き通っていて、まるで怪談話に出る幽霊のようだ。
「ば、化け物!!」
兵士の一人が錯乱して彼らに銃を発砲したが、弾は通り抜けた。
『静かにしろ。この俺様が許せるうちに』
「・・・あんたら、銃を降ろしなさい」
にやりと笑ってこちらを見下ろすカカシを、アンコは睨みつけた。
「で、カカシ。あんたは何をやっているの?状況を説明してくれる?」
『いやー、おまえらに、折角だからラピュタの力を見せようかと思ってね』
「あんた・・・何を」
『見てみろ、ラピュタの雷を!』
突如爆発音が響いた。
爆風までは来なかったがびりびりと振動がする。
兵士たちが一点に集中して見る先では、
海から大きなきのこ雲が発生していた。
軍の最高峰の爆弾でも・・・ここまで大きな爆発は起こせないだろう。
カカシは、子どもが新しい玩具を自慢するように、
楽しげに笑っていた。
『旧約聖書にある、ソドムとゴモラを滅ぼした、天の火ってやつさ。
ラーマ・ヤーナでは、インドラの矢とも伝えてるらしいが・・って、
あんたらに言ったってわかんないか』
「・・・・・あんた、今何をやった?」
『ん?』
「あそこに、兵士たちを待機させた軍艦があるの、知っててやったの?」
『あー、ほら、爆発の規模がよくわかるかなって思って。
実際わかったろ?跡形もなく消えちまったし!』
「ふ、ざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
アンコは持っていた銃を両手に持ち、可能な限りカカシに撃った。
それでも平然としているカカシに、拳銃自体を投げつけた。
『・・ほんと、人間ってうっせーな』
カカシは冷めた目で兵士たちを見下し、片手を上げた。
何かされる・・・そう思った瞬間に、横から少年がカカシを突き飛ばした。
『逃げて!!その部屋から早く出て!!!!』
突如叫びだした少年に、兵士たちは恐慌状態で我先にと逃げ出す。
少年はそれでもなお、叫んでいた。
『・・シカ、俺思い出したの!!ここに俺は住んでた!!
ラピュタの内部にいける隠し通路があるの!!俺たちがここに来て見た石碑の』
『しゃらくせぇ!!!邪魔だクソガキ!!!』
カカシが横から少年を吹き飛ばし、元の位置に戻る。
あの子どもは・・シカという子に叫んでいたけど、ここにはいないのに・・
だがそれからすぐに周囲を見て気づいた。
この部屋の窓の外に、黒髪の子どもがじっとこちらを見ているのを。
ああ、いるってわかってたから、叫んでたのね。
今度は向こうの子どもが何か叫んでいる。
何よ、聞きづらいわねぇ。
窓に近づくと、鮮明に彼の声が聞き取れた。
・・・に、げ、ろ?
「あー、しまった。逃げるの忘れてたわ」
出入口を見ると、どうやら兵士たちが一斉に逃げたせいで詰まったらしい。
出られない出られないと喚いている奴らでひしめいてた。
ほんと、しょうがない部下どもだわ。
アンコは部下の見たくも無い尻を、思いっきり蹴飛ばした。
鈍い音と共に、兵士たちが向こう側にどっと押されていった。
これで大丈夫。
「私も出な」
出ないと、そう考えた瞬間、足元が崩れた。
あはは、部下を守って死ぬなんて、かっこいーじゃない。
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